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システムマイグレーションの費用相場は?規模別・方式別の目安とAIによる削減方法

// KEY POINTS

この記事の要点

  • 10万ステップまでの費用は数百万円から1,000万円、50万ステップまでは1,000万円から5,000万円、それ以上は5,000万円から数億円が目安です
  • 同じ規模でも、コードの複雑さや設計書の有無、リホスト・リライト・リビルドの方式の違いで金額は数倍変わることがあります
  • テスト・検証に全体の半分近い工数がかかることも珍しくなく、テスト工程を削った安い見積は本番切替後の障害リスクを高めます
  • 移行専用のAIで解析・変換・テストを効率化した当社の約25万行の基幹システム移行では、従来手法の見積と比べて金額・工期を約60%削減しました

システムマイグレーションの費用は、ソースコードの行数を基準に見積もられるのが一般的で、10万行までのシステムなら数百万円から1,000万円程度が目安です。ただ、同じ10万行のシステムでも、ベンダーによって見積額が数倍開くことは珍しくありません。

差が生まれるのは、どの方式で移行するか、テスト・検証にどれだけの工数を見込むか、事前に読み切れない作業をどれだけ上乗せするかの3点です。この3点の中身を知っておくと、手元の見積もりが高すぎるのか、安すぎて危ういのかを判断しやすくなります。

規模別の費用相場

見積もりの基準になる規模は、ソースコードの行数である「ステップ数」で表すのが一般的です。規模別のおおよその目安は次のとおりです。

システム規模 例 費用の目安
小規模(〜10万ステップ程度) 単一の業務システム、部署内ツール 数百万円〜1,000万円程度
中規模(10万〜50万ステップ程度) 部門をまたぐ業務システム 1,000万円〜5,000万円程度
大規模(50万ステップ〜) 基幹システム、複数システムの統合 5,000万円〜数億円

表の金額は一般的な業務システムを想定した目安で、同じ規模でも、コードの複雑さやドキュメントの有無、移行方式によって実際の金額は数倍変わることがあります。

自社システムのステップ数がわからない場合も、開発時の資料や保守ベンダーへの確認でおおよその規模はつかめます。注意したいのは数え方です。空行やコメントを含めるか、外部から取り込んだライブラリやツールが自動生成したコードを含めるかで、同じシステムでも数字は大きく変わります。ライブラリまで数えると、自社で書いたコードの何倍もの行数になることもあります。見積もりを依頼するときは、行数と一緒に何を数えた数字かを伝えると、ベンダーごとの前提がそろいます。

移行方式による費用の違い

同じシステムでも、どの方式で移行するかによって費用は変わります。代表的な3方式の比較です。

移行方式 内容 費用感
リホスト プログラムはほぼそのまま、サーバーやOSなどの稼働環境だけを新しくする 低
リライト 機能はそのままに、プログラムを新しい言語・フレームワークに書き換える 中
リビルド 業務要件から見直してシステムを作り直す 高

リホストは安く早く済む一方、古い言語やフレームワークのコードはそのまま残ります。保守できる技術者は年々見つけにくくなり、フレームワークのサポートが終わっていればセキュリティ更新も受けられません。費用を抑えた分、こうした問題は次の更新時期まで持ち越されます。

リビルドは業務の見直しとあわせて作り直せる反面、要件定義からやり直すため費用・期間とも最も大きくなります。長年の改修で現行システムに組み込まれた業務ルールは、設計書に残っていないこともあります。それを洗い出す作業に漏れがあると、稼働後に「前のシステムではできていた処理」として見つかり、追加の改修が必要になります。

リライトは、機能を変えずに言語やフレームワークだけを新しくする方式です。業務の動きが変わらないため、新旧の動作を比べて正しさを確かめられます。その反面、人手で書き換えて新旧を一つずつ突き合わせる工数がかさみ、高額になりやすい方式でした。この書き換えと突き合わせの工数をAIで圧縮できるようになったことで、リライトの費用は以前より抑えられるようになっています。

費用の内訳

マイグレーション費用の主な内訳は次のとおりです。

  • 現行調査・解析:どの画面やバッチ処理がどのプログラムとデータを使っているかの調査
  • 変換・実装:新しい言語・フレームワーク・基盤への書き換え
  • テスト・検証:移行前と同じように動くことの確認
  • 移行・切替:データ移行、本番切替、並行稼働
  • プロジェクト管理:進行管理、品質管理、関係者調整

このうち、新規開発との違いが最も大きいのがテスト・検証です。マイグレーションのゴールは「移行前とまったく同じように動くこと」なので、画面、帳票、バッチ処理ごとに新旧の結果を突き合わせる作業が発生し、プロジェクト全体の半分近い工数になることも珍しくありません。見積もりを比較するときは、総額より先に、テスト・検証に計上された工数と、新旧比較をどの範囲まで行う前提かを確認してください。この工数が少ない見積もりは、一見安くても、本番切替後に新旧の差異が見つかって手戻りになる危険を抱えています。

テスト工程の重さは業界の統計にも表れています。IPAのソフトウェア開発分析データ集2022では、既存システムの機能仕様をほとんど変えずに作り直す再開発63件の工程別工数比率は、平均で製作0.326に対して結合テスト0.207、総合テスト0.163でした。2つのテスト工程を合わせると製作工程を上回ります。この集計にはマイグレーション特有の現行調査や新旧の動作比較は含まれていません。

見積もりが膨らむ要因

相場より高い見積もりが出てくるとき、多くの場合、ベンダーは作業量を事前に読み切れない部分をリスク費用として上乗せしています。読み切れなくなる典型的な状態は次の4つです。

  1. 設計書・仕様書が残っていない。コードを読んで仕様を確かめるところから始まるため、現行調査の工数が増えます
  2. 仕様を知る担当者がいない。処理の意図を確かめる相手がおらず、推測と確認を重ねながら進めることになります
  3. 長年の改修でコードが複雑になっている。1か所の変更がどこに影響するかの特定に時間がかかります
  4. 移行中もシステムの改修を止められない。移行作業と並行して、現行側の変更を移行先へ取り込み続ける必要があります

上乗せ分は、調査や診断で不確実な部分を減らせれば小さくなります。見積額が相場から大きく外れているときは、どの項目がリスクとして積まれているかをベンダーに尋ねてみてください。調査を先に行えば下がる部分なのか、システムの状態から見て避けられない部分なのかがわかります。

行数以外で費用を左右する要素

相場表がステップ数を軸にしているため、「行数を伝えれば金額が決まる」と思われがちですが、行数は指標の一つにすぎません。同じ10万ステップでも、定型的な画面が並ぶシステムと、複雑な業務ルールが集中したバッチ処理を抱えるシステムでは、解析と変換の手間もテストの難しさも違います。外部システムとの連携が多ければ接続先ごとの確認が増えますし、画面のWeb化のような仕様変更を伴えば、新旧を単純に比べられない部分のテストを別に組み立てることになります。

当社の見積では、対象システムの規模を基本に、コードや機能の複雑性、業務ロジック理解の必要度、インフラ基盤入れ替えの有無を加味して算出します。複雑性と業務ロジック理解の必要度は行数を聞いただけでは判断できないため、無料診断でソースコードの一部を実際に解析して見極めます。行数が少なくても業務ロジックが複雑なシステムは相場より高くなることがあり、行数が多くても定型的なコードが大半であれば相場より抑えられることもあります。

見積書を受け取ったときに、どの項目がどの根拠で積まれているのかを読み解く方法と、PoC(事前検証)で確かめておきたいことは、マイグレーションの見積方法で解説しています。

AI活用による費用の変化

費用の内訳のうち、AIで工数を減らせるのは現行調査・解析、変換・実装、テスト・検証の3つです。移行と同時にドキュメントも作れます。

  • コード解析:ドキュメントが残っていなくても、AIがソースコードから構造と仕様を読み取る
  • コード変換:移行先の言語・フレームワークの規約に沿って、AIがコードを書き換える
  • テスト・検証:AIが「変換→検証→修正」のループを自律的に繰り返し、新旧の差異を解消していく
  • ドキュメント生成:移行と同時に、最新のコードに対応した仕様書・設計書を生成する

見積もりが膨らむ4つの状態のうち、設計書がない、仕様を知る担当者がいない、コードが複雑になっている、の3つは、いずれもソースコードを読み解く手間の大きさから生じています。AIがコードから構造と仕様を読み取れれば、この部分の不確実性は小さくなり、リスクとして上乗せされる金額も抑えられます。人手を前提とした見積もりで一度は断念した移行でも、AIを前提に見積もり直すと金額が変わる可能性があります。

当社のAIマイグレーションサービスでは、移行専用に独自開発したAIエージェントシステムを使い、約25万行の基幹システム移行で従来手法の見積と比べて金額・工期を約60%削減しました。削減幅はシステムの構成によって変わります。

AIマイグレーションの仕組みや導入時の注意点は、AIマイグレーションとは?仕組みと効果、導入前に知っておきたい注意点で詳しく解説しています。また、FuelPHPで構築された約25万行の基幹システムを実際に移行したプロジェクトの詳細は、FuelPHPからLaravelへの移行事例で紹介しています。

移行費用を抑えるために発注側ができること

ベンダー選びのほかにも、発注側の準備で費用を抑えられる部分があります。

  1. 移行対象を絞る。使われていない機能や画面、帳票を対象から外せば、調査からテストまでのすべての工程で工数が減ります
  2. 作業単位に分けて進める。システム全体を一度に変換せず、業務単位や機能単位に分けて進めます。分け方はAIマイグレーションの進め方で解説しています
  3. 規模と構成を整理しておく。ステップ数とその数え方、使っている言語やフレームワーク、連携しているシステムを、わかる範囲でまとめておきます
  4. 見積もりの前提をそろえて比べる。複数の方式やベンダーを比べるときは、金額だけでなく、新旧比較のテストやデータ移行が含まれているかを並べて確認します
  5. 小さく試せるベンダーを選ぶ。いきなり全体を発注せず、診断やPoCで品質と相性を確かめてから進めます

まとめ

相場表からわかるのは、自社のシステムがどの価格帯に入りそうかまでです。その中のどこに落ち着くかは、コードの複雑さとドキュメントの有無、そしてテスト・検証をどこまで行うかで決まり、実際のコードを見なければ判断できません。

複数のベンダーから見積もりを取る場合は、ステップ数の数え方と新旧比較の範囲を先にそろえて依頼してください。前提がそろっていれば、残った金額の差は、各社の進め方とリスクとして上乗せした額の違いとして読めます。

DEN-NOのAIマイグレーションサービスの無料診断では、NDA(秘密保持契約)を締結し、システム概要とソースコードの一部をお預かりします。行数だけでは判断できない複雑さや業務ロジックを読み解く手間を解析して概算費用をご提示し、現状リスクと移行可能性をまとめた診断レポートもあわせてお渡しします。仕様書・設計書がお手元になくてもご相談いただけます。

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よくある質問

Q. 概算見積もりを取るには何を用意すればよいですか?

システムの用途や利用者数といった概要と、ステップ数や画面数などおおよその規模感がわかれば概算は可能です。当社の無料診断では仕様書・設計書のご準備は必須ではなく、ソースコードから仕様を読み取ります。

Q. 期間はどのくらいかかりますか?

規模により数ヶ月〜1年以上と幅があります。従来は人手による書き換えとテストが期間の大半を占めていましたが、AIの活用により工期も費用と同様に短縮できるようになっています。規模別の目安と工程別の内訳はシステムマイグレーションの期間はどのくらい?で詳しく解説しています。

Q. 安さだけでベンダーを選ぶリスクはありますか?

あります。特にテスト・検証の工数を削った見積もりでは、新旧の差異が本番切替後に見つかり、業務を止めて修正する事態になりかねません。金額だけでなく、新旧比較をどの範囲まで行うのかと、移行後のドキュメントが納品されるかをご確認ください。

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